【短編】空に翔ける恋



「そーだ、緑沙くん、部長にこの子推しといて!
スタートの旗上げめちゃくちゃうまかったの。
マネージャーに向いてるわ!」
実里先輩が目を輝かせながら沙知の手を取る。

「あ、実里ちゃん、その子が僕の妹だよ」
「えっ!あぁ!この子が噂の?!」
「そーそ」
勝手に話し出す実里先輩と緑沙先輩を横目に


「明日走ってみない?」
とみーたんが問いかけた。

「陸上はもうしないって決めたの」
「でもっ!」

そう引き止めようとするみーたんに踵を返して

「陸上部には入りません!
……もう、話しかけないで」
そんなひどい言葉を吐き捨てて
その場から逃げるように校舎へ向かった。