土曜日、お父さんとお母さん、そして妹が迎えにきてくれた。
「退院おめでとう」
「ありがとうございました!」
見送りに来てくれた看護師さん達に頭を下げ、病院を後にする。
「なぁ、花音」
車を運転しているお父さんが声をかける。
「ん?何?」
今日は雲ひとつない晴れ空。
こんな日は走ったら気持ちいいんだろうなぁ…
窓の外の景色を見て、そんなことを考えながら返事をする。
「部活やってないって本当か?」
その声を聞いてお母さんが
「えっ、、いつも服洗ってるわ…」
そう戸惑いの声を上げ、固まった。
「やってないよ」
わたしはお構いなしにお父さんの質問に答える。
私が答えると何故か微妙な空気が流れる。
「学校も、部活も、迷惑かけないって決めたからさ。
いやもう迷惑かけちゃったけど」
そう無理やり笑って話を変えようとすると
「我慢しなくていいんだ、
お前は自分のやりたいことをすればいい。
見舞いに来てくれた4人のことくらい素直に頼ってやれよ」
お父さんがいつになく真面目にそう返す。
お母さんはうんうんとうなずく。
「ふふっ、うん。ありがとう」
お父さんの横顔は晴々としていて、
わたしは思わず笑ってしまった。
こんなにいい両親を持てたことに感謝だな、と思い小さな声でもう1度「ありがと」と呟いた。



