【短編】空に翔ける恋



気づけば腕時計は4時を指していた。

そろそろ帰ろうと立ち上がると


「あれ、木原さんじゃない」
「ほんとだ」
「こんなとこでサボり〜?」
ニヤニヤした女の子3人組に声をかけられた。

同じクラスの…

「あんた目障りなんだよ」
パシッ
と乾いた音が響く。


頬がヒリヒリする。

「あんた結城先輩のなんなの?」
私の頬を叩いてそう言ったのは3人組の真ん中で後ろに下がっている女の子。
その子の目にはうっすら涙が浮かんでいる。


「なんで毎朝あんたの家の前に結城先輩がいんのよ!」

「え?」

訳がわからず間抜けな声が出る。

「とぼけんな!」
ドンッ

鈍い音が聞こえる。



肩が、重い…

目の前には、真っ青な空が広がっている。

目の前の景色は、ぼやけて見える。


ズキズキ…ガンガン…
うまく形容できない、
味わったことない痛みが襲う。


「ねえこれ流石にやばいよ」
「行こっ私たちは何も関係ない」


女の子たちの声が遠ざかっていく。

あぁ、わたし、もうダメなんだ…
なんとなく、そう思った。



「かーーーのーーーんーーー」
聞き覚えのある声が遠くでする。

「か、花音っ!」
視界の端で、沙知が駆けつけてくるのが見える。


「さ、、ち、、ごめ、んね、


つ、かさ、せ、、ぱい、ご、、なさい、
か、し、、わぎ、く、、ん、も、

み、、た、ん…」

そこで限界を迎え、私は意識を手放した。