「私たちと、
いや私だけでもいいの。
一緒に学校、行かない?」
沙知が私の顔を真っ直ぐ見て言う。
「…やだ!
わたしは陸上部には入らないし3人とは話さない」
沙知の手を振り解き今度は外の方へ向かって駆け出す。
ひどいことを言っているのはわかっている。
だけど、わたしはもうみんなを傷つけたくない。
「なんでっ、」
辿り着いたのは学校ではなくいつもの広場。
深く息を吸って、それから吐いた。
「お父さん、お母さん、ごめんなさい」
と呟いて携帯の電源を切る。
ここは誰も知らないわたしだけの場所だから、
きっと誰にも見つからない。
何をするわけでもなく、
広場のベンチで鞄に入っていた教科書を読んだり、
持ってきた体操服に着替えて走ったりした。



