王都へと辿り着いたのは、翌朝だった。

 母と私の乗った馬車が、反貴族派と手を組んだ隣国の兵に襲われたと理解出来たのは、それから何年も経ってからだった。

 あの事件で、母と護衛騎士の半分以上が亡くなった。

 たくさんの血と悲鳴からか、城へ帰ってからも怯え、眠れない日が続く。

 そんな時であっても、彼が側にいれば寝ることも食べることも出来た。

 彼は私の専属の護衛騎士になると共に、騎士団の団長に任命される。

 近いようで、遠い距離。

 それでも私にはあの約束があれば、いつかを夢見ることが出来た。

 そう、あの日からずっと、私にとって彼は居なくてはならない存在であり、想い人となった。