そしてそのままベッドの横で布団に包まり、涙が枯れるまで泣いた。

 どれだけの時間が経ったのか、窓の外は明るくなっている。


「ルチア様?」


 短いノックの後、メイが入室してくる。

 みっともない顔を見られたくなくて、ベッドに戻ろうとしたのだが、体が鉛のように重く動くことが出来ない。


「ルチア様! どうなさったのですか。誰かー、誰かすぐ来て!」


 メイが慌てたように動けない私に近づき、私に触れた。

 しかし、メイの方を向くことも声を出すことも出来ない。

 まるで本当の石になってしまったみたいだと自嘲する。

 でももうそれすらも気にならない私がいた。

 いっそ石にでもなって、そのままこの心も体も固まってしまえばいいと思ったから。


 メイの悲鳴にも似た声に、すぐ近くにいた衛兵たちが部屋へ入ってきた。

 そして彼らの手によってベッドに横にさせられ、すぐに医師が呼ばれた。

 大げさだなと、みんなの慌てる姿を私はただぼんやり眺めていた。