闇に咲く華ー偽りの華ー


中々眠れず、気付くと窓から明るい日差しがのぞいていた。

動かない身体にムチを打ってリビングへと向かう。

「結月、起きたのか。」

制服に身を包んだ大樹が、リビングへ入ってきた私に声をかける。

「えぇ。朝の光が眩しくて目が覚めたの。」

我ながら拍手喝采してしまうほどの演技力。
仮面を張り付けた私は、その仮面を演じる。

「平日だけど、お袋との約束の買い物は10時だろ?ゆっくりしてろよ。」

時刻は6時10分を過ぎようとしている時計を、チラッと見ながら話す大樹。
思わず魅とれてしまいそうになるのをぐっとこらえる。

「健康的な証拠でしょ?」

「まぁな。お前は青白すぎるから見てて心配になる。」

え…。
急な出来事に頭がついていけない。

今の状況、大樹に抱き締められてる!?