闇に咲く華ー偽りの華ー


頭が真っ白になる。

まさか、ここで澤田というワードを耳にするなんて―…。

静かに部屋に戻り、ベッドに腰かける。

もう、ここには居られない。

私は清宮にとっても、莉依さんにとっても"邪魔な存在"でしかないのだから―…。

哀しいのに、涙が出ない。
泣きたいはずなのに―…。

…いえ、私に泣く権利なんてこれっぽっちもない。

私に出来ることは、静かに鬼龍のもとを去ること。

もしかしたら、私の秘密がバラされるかもしれない。
そうなった時に、嫌われる覚悟を持たないと―…。

「…私、心からここに居たいと思い始めてる―…?」

自分の思いに嘲笑ってしまう。
そんなこと思える資格かないのに…。

嘘で塗り固められた私が、"ここに居たい"だなんて…。