花火が終わり、周りにいたお客も足早に帰っていく。

私は余韻に浸りながら、先を歩詩月たちを見る。
何やら仁くんと2人で何から順番に食べようか相談しているもよう。

「また来たいな…。」

「また行こう。」

隣にいつの間にかいた大樹に驚きながら、また"次"と誘われた。

てか、ボソッと言った言葉が聞こえてしまうなんて、なんていう地獄耳。

でもそれがむず痒いような、嬉しいような、不思議な感覚。

あの美しい花火を、また貴方と行ける約束が出来るなんて。

「また、行ってくれるの?」

「あぁ。お前が嫌じゃなければな。」

ぶっきらぼうに聞こえるが、ほのかに耳が赤い大樹。
その姿に思わず笑みがこぼれる。

「約束ね。」

お互いにさりげなく手を繋ぎながら、別荘までの道のりをゆっくりと歩いていった。

このあたたかい気持ちを大切にしていきたいな。