じっと食べ物を見つめる結月。
何が気になるんだ?

りんご飴に。

「そんなに食べたいのか?」

「え?あ、いや…これ、どうやって食べるのかなって気になって…。」

「親父、2つ。」

「あいよ!まいどあり!」

え!?
買っちゃったよ!?
そんな言葉が出てきそうな表情。

「あ、ありがとう。でも、2つも食べきれないよ?」

「1つは別荘の冷蔵庫にでも入れとけば、明日までもつだろう。」

「でもこれ、どうやって食べるの?」

それ言うの2回目だという言葉を飲み込むも、笑みがこぼれてしまう

「そのまま。」

俺のそのままという言葉に目を見開く結月。

結月が鬼龍に来たときは表情ひとつ無く、まるで人形のように冷たかった。

ひと言で言うと『無』。

それが少しからかうだけで、顔を真っ赤にしたり怒ったりと色んな表情が見れた。

その表情がもっと見たいなんてガラにもない事を、結月を前にすると感じてしまう。