やべぇ。
目の前の結月に見惚れてしまっていた。
大人っぽい容姿の結月が、浴衣を着ると綺麗すぎて言葉が出なかった。
気の利いた言葉を言えばいいものの、俺が言えたのはいいんじゃないかだった。
上目遣いになった結月に堪えられなくなり、思わず口元を隠しながらそっぽを向く。
俺の顔が赤いのがバレバレだろう。
こいつと出会ってから、180度変わったのが自分でも分かる。
俺の中で結月が中心になってるのが当たり前になっているのだ。
誰よりも先に見ることが出来て良かったはいいが、これ以上見せたくねぇな…。
でもまぁ…、結月が楽しみにしてるようだし、ここは我慢しないと。
「さて、行こうか。エスコートしよう。」
そう言って手を差しのべると、頬を赤く染めながら手を重ねる。
俯きながらも俺の方を見てくる結月に、赤みがうつってしまったようだ。
「まさか、狙ってやってんのか?」
「へ?な…何を!?」
色々と我慢がならねぇな。
周りが冷やかすも、気にせず手を握ったまま共に歩く。
「回りたいと思ったところから行けばいい。遠慮はなしだ。」
グズグズに甘やかしてやりたい衝動を抑えながら出店へと向かう。

