紺地に足元には赤い金魚があしらえてある浴衣と、白地で黒の金魚が全体的に描かれている浴衣を見比べる。

銀ちゃんさんも悩み中のようで、うなり声を上げながら私と浴衣を見ている。

「紺でエレガントさ?白でセクシーさ?どちらも合うから悩むわよねー。」

「ジジィ、花火大会は暗いから白の方がいいんじゃないかしら?」

「あらぁ、糞孫。良いこと言うじゃない。そうね、その方がこのメイクが映えるだろうからねぇ!」

…。
この2人の会話は通常運転なのかしら。
ジジィと糞孫って…。

「てか、もう男どもは終わったのー?」

「そうそう!ちゃちゃーっと終わらせたわよ!まぁ、アタシがゆーちゃんのところへ行きたかったのだけれど!」

何か私存在薄い気がするというか、この2人に消されてる?

「あ、あの。私自分で着付けるので、最後のチェックだけお願いしてもいいですか?崩れてないか心配で…。」

「あら、貴女自分で着付けられるのね!凄いわぁ!」

「じゃぁ、アタシもジジィと出てるわよー。ゆーちゃん、終わったら声掛けてねん!」

何だか2人が合わさると、ハリケーンのようだわ。

静かになった空間で、1人ささっと浴衣に着替える。

着物と違ってラフさのある浴衣は、簡単に着替え終えることが出来た。

こんな幸せがずっと続けばいいのにー…。

そう願ってしまうのは、いつかは"彼処"に戻らなければならない現実があるから。