「何してんだこんなところで。」
振り向くと大樹が、不機嫌な顔をして近づいて来た。
身体が冷えるだろうと言いながら、私に薄手のタオルを掛けてくれた。
「何を考えてやがる?」
!?
私の思っていたことがバレているかのような言葉に聞こえてきた。
まさかね…。
「…私はここにいていいのかなって。」
嘘ではないけれど、さっき思っていた事を隠すかのように言葉を口にしていく。
心のどこかにあった引っ掛かりが言葉でスラスラと出てきた。
「自分ひとりで何とかしなきゃいけないのに、皆に迷惑掛けて…守ってもらって…。鬼龍のメンバーでない私がここに居ていい意味って…あるのかなって。」
本当は誰にも迷惑なんて掛けたくないのに、結局私は周りに迷惑をかけてしまっている。
自分の自己満でしかないのかな…。
「今意味が見つかったら、俺たちは苦労しねぇよ。」
黙って聞いていた大樹が、静かに口を開いた。
「色々な経験があるからこそ、大人になった時に"あの時こんなことがあったな。じゃぁ、今はこうするべきか"って応用が出来るようになるんだ。そこに達するまでには相当な時間と経験、労力が必要だ。」

