一瞬にしてピリピリと重たい空気になったのがわかった。
大樹の殺気は黒木だけでなく、起き上がろうとしていた黒龍のメンバーまでもを動けなくさせていた。
流石、清宮組の若頭。
迫力の差が物凄い。
こっちまで物凄い殺気で殺られそうな感覚に陥る。
「うるせぇ!!俺の楽しみをぶち壊しやがって!!」
暴言を吐きながら、黒木は大樹に向かって拳を振りかざす。
だが、それを華麗に避けて回し蹴りを繰り出した大樹。
その足元には伸びてしまった黒木。
「…テメェの欲で、巻き込んでんじゃねよ。」
一発KO?
あまりの速さ、呆気なさに開いた口が塞がらない。
しかも息切れしていない、怪我していない、汗もかいていないの三拍子。
思わず肩の力が抜けそうになる。
「お姉ちゃん!!」
その声と共に、体が詩月の温かさに包まれる。
力強く抱きしめる詩月に、無事だということがすぐに分かった。
「ごめんなさい…守れなくてっ…。」
「詩月のせいじゃないわ。私はこうして無事だったんだから。」
宥めながら離れ、無事だということを証明するために笑いかける。
「悪かった。すぐ駆けつけられなくて。」
後ろから大樹が謝罪をしてきた。

