汚い言葉で言うと、"ゲスい"。
ゲスすぎるわ。
平等と言う言葉を利用して、罪のない人たちを巻き込もうと魂胆が丸見え。
拳が降ってくるのを何とか避けながら、逃げ道を探す。
けれど、油断してしまう。
後ろに回られ、片腕をとられてしまったのだ。
「っ…!?」
幸い痛みは少なく、他が動けたのですかさず反対から来る男を交わし、私の片腕をつかんでいた男とぶつける。
「いいね、いいね!もっと楽しませてくれよ!!こんなにゾクゾクしたのは初めてだ!」
「うるさいっ!!」
「あぁ、切羽詰まった人間ほど美しいものはないよ。苦しみの中でこそ、楽しみが増していくのさ!」
コイツ、本当狂ってる!?
切羽詰まった人間ほど美しいものはないって、どんだけ変態なの?
何とか交わしながら、脱出を図る。
けども、こうも男たちがいると中々進めない。
女ひとりの力では交わすのが限界なのかも。
でも、諦めるわけにはいかない。
詩月のためにも―…。
みんなのためにも―…。
そんな私を見て、黒木はニヒルな笑いを見せてきた。

