闇に咲く華ー偽りの華ー


「こっちは準備オッケーよん!」

「こっちも。全員揃った。」

広治と司から合図かのように声がかかる。

「仁、お前はどうする?」

「俺も前線に出ます。守れなかったので、挽回させてください。」

ボロボロのはずなのに、深く頭を下げてきた。
お前の責任でないのに。

俺の不手際だ。

「わかった。詩月はなるべく隠れてろと言いたいとこだが、無理だろ?」

「うん。私もお姉ちゃんを助けにいきたい。」

まっすぐに俺を見据える。
その表情は何処と無く結月に似ている。

流石姉妹。

「なら、気を引き締めていけ。」

イライラする気持ちを抑えながら指示を出す。

どうか、無事でいてくれ。
俺たちが着くまで。

無責任な言葉かも知れねぇが、ここはそんな世界だ。

一歩足を踏み入れれば戻れなくなる。
そんな世界に巻き込んでしまったのは他でもない俺だ。

突き放せばよかったものの、そうできなかったのだから。

"全ては俺の責任"。

それで許されるのならば。

「行くぞ。」