こうしている間にも、結月が更なる危険にさらされているのは目に見えている。
ただ、俺たちが行き着くまでに持ちこたえていて欲しい。
もし、ヤられていたら?
そう考えただけで、身の毛もよだつ。
俺が俺じゃいられなくなりそうだ。
気が付くと両手に力が入り血が滲むほど握っていた。
「広。あれってイラついてるよね?何だか結月ちゃんへの執着が出てる気が。」
「んまぁ、あらかたそうでしょうねぇ。これ以上切れたら手に終えないわよぉ?ま、ゆーちゃんがいれば収まるだろうけどねーん。」
「あ"?ペチャクチャ喋ってねぇで行動に移せ。1時間しかねぇぞ。」
俺のイライラを見て、司と広治はそそくさと自分の隊のところに向かった。
正直、ムカムカしてる。
その原因はわかってんだ。
結月が手の届く範囲に居ないこと。
ましてや、あの黒龍の黒木に連れ去られ手を出されていることは確実で。
"腸が煮えくり返る"
そんな言葉がしっくりくる。
ただ、今ここで形振り構わず動いてしまうと、この"鬼龍"をダメにしてしまう。

