俺の低い声が部屋に響く。
「今ここで焦れば、黒龍…黒木(ヤツ)の思う壺だ。黒木は隊自体を崩して動こうとするヤツだ。無闇やたらと動くわけにはいかねぇ。」
「じゃぁ、お姉ちゃんがやれているのを見て見ぬふりなんですか!?」
「そうじゃねぇよ。黒龍がそのつもりなら、こっちも容赦しねぇ。鬼龍の大事なのを拐ったんだ。生かすのも勿体ねぇくらいだ。」
「っ…なら!!」
「1時間後だ。」
俺は詩月の言葉を遮って、出発時間を言葉にする。
焦る心を抑え、族の頭として最良の判断をしなければならない。
族は潰し合いの世界だ。
その中でも、戦略が一番なのも否定できない。
それが出来ない族は潰れるのが目に見えている。
「完璧なまでに黒龍を潰す覚悟だ。そのために、1時間で準備しろ。切り込み隊はすぐ動けるよう体を慣らしておけ。親衛隊は隊を崩さず回り込めるように動け。情報参謀の光輝は結月に手を出すほどの真の目的を炙り出せ。」
「あら、弾丸トーク。ヤケに切れてるじゃない?どーしたのかしら?」
そう言いながらニヤついてきやがった。
コイツ…おちょくってんのか?
さっきまで男口調だったのが、いつの間にやら女口調に戻ってやがる。
相変わらず読めねぇやつだ。
…さて、黒龍をどうしてやろうか。

