今、俺たちはピリピリしていた。
龍神会が終わり鬼龍に戻って一息ついているときに、詩月と仁が血相を変えてに飛び込んできた。
そこに結月がいないことに気が付いたのはすぐのこと。
2人は焦ったようにことの経緯を話し始めた。
『結月さんが…黒龍にっ…』
『私たちの身代わりでっ…。』
思わず俺はヒュッと息をのむ。
日々、鬼龍が迎えに行ってるから大丈夫だろうと高を括っていた。
だから黒龍もそうそう手は出さないだろうと"思っていた"。
油断していた。
まさか俺らが居ない間に連れ去るとはっ…。
「光輝。」
「言われなくても、場所の特定をして居る。あらかた黒龍の本拠地だろうがな。」
流石、鬼龍の情報参謀。
仕事が速い。
「やぁねぇ。私たちが居ない時に拐うなんて…、とんだゲス野郎だな。」
「簡単に女にも手を上げるんだ。こっちも黙っちゃいられない。…2人の怪我具合を見て、結月ちゃんの状態が心配だね。」
俺に比べればピリピリ度は低いものの、広治は男の口調に戻ってやがるし、司も言葉が荒くなっている。
「黒龍の頭も出てきたんっす。急がないと結月さんが!」
「…落ち着け、仁。」

