闇に咲く華ー偽りの華ー


「俺はね、女でも何でも平等と思っていてるんだ。例えそれが喧嘩であってもね。男女平等と唱ってるこの世の中にはピッタリだろう?」

そう言って高笑いをする。

く…狂ってる。
喧嘩であっても男女平等だなんて。
なんて横暴なの!

「と言うことは、私と黒龍とで喧嘩するということね?」

「理解の早い女だ。俺は静観してるよ。殺るのはここにいる下っ端ども20人。その中には、君が痛め付けてくれた奴らもいるさ。」

に…20人。
容赦ないわね。

「上に広場がある。今からそこに向かう。」

私は下っ端どもに引っ張られる形で上に連れてこられた。

そこはだだっ広く、殺風景な場所。
ホールのようだ。

一言で言うと"廃れている"

「ここでどうなろうが知ったことではないと言うことね。」

出入口は正面にいる黒龍の下っ端たちの後ろに1つ。
割れていて外が丸見えな窓が左右に3つ。

窓から逃げようにも、黒龍のこの人数ではすぐに捕まってしまうのが落ちだわ。

ただ、人質は私1人だけ。

「逃げ出そうとしても無駄さ。ここ以外にも外に下っ端たちを配置してるから、敷地から出るころにはボロボロになっているか、生き倒れているかだ。」

この世界に足を踏み入れたときから、覚悟なんてとっくに出来ていた。

誰にも頼ることなく、自分独りでやっていくのだと。

深呼吸して相手を見据える。
私はあの子の"居場所"のためにも―…。

「…さぁ、始めようじゃないか。」

パチンという指の音で、周りにいた男たちが襲いかかる。

私は、どんなことをしてでもここを脱出しなければ。

死ぬわけにはいかない―…。