「…わかりました。その代わり、2人を離して。」
「話がわかる女性は素敵だ。」
ゾワッとする笑みを見せながら、下っ端に合図をする。
解き放たれた詩月は、片腕を押さえながら私のところに駆け寄る。
「お…姉ちゃ…何を…。」
「私は大丈夫。何とかするから、仁くんを連れて逃げて。」
「だめだよ!黒龍の奴らは何をするのかわからない!そんな所に大切な姉を易々と渡せない!!」
「詩月…。」
大切な姉ー…か。
そんな強い思いの詩月は真っ直ぐ私を見てくる。
それでも、この場を凌ぐためには私が捕まらないと打破できない。
仁くんはボロボロに。
詩月は辛うじて動けるも、捻り上げられた腕は全治2週間というところだろう。
「大丈夫。あなたの生活を 脅かす人は私が許さないから。」
私はそう言うと、黒龍の所へ向かう。
自分達のもとへ来ることが分かり、更に気持ち悪い笑みを見せてきた。
この人は、自分の思い通りに行けば何もしない人…?
けど、気持ち悪いのは変わらない。
だけど、これ以上2人が傷つくのは見たくない。
そう心から思っている自分に驚くも、目の前の黒龍に気を抜かずに見据える。
「約束は守ってもらうわよ。」
「あぁ。君が大人しくこちらに来ればね?」

