せっかくある条件のもと、2ヶ月の休暇をもらえたのだ。
最初は好きに使ってもいいだろう。
鬼龍というところにいるのは確かなのだ。
まったく、鬼龍というところは一体何なのか。
隣街で過ごしているということ、鬼龍というワードを、二ヶ月経ったころに詩月から連絡がきた。
「早く会えるといいんだけど…。」
手元に目線を戻すと、目の前に先ほどのおじいさんが立っていた。
「ココアです。お待たせいたしました。」
有難うございますと声をかけ、ゆっくりとココアを口にする。
あたたかい。
私は何年、人のあたたかさに触れていないのだろう。
そうふけっていると、おじいさんが静かに優しく話しかけてきた。
「お嬢さん、何か…誰かお捜しかね?」
「…え?」
私の思ってたことをほぼ当てたので、思わず驚いてしまった。
「いや、見かけない顔でね。思い詰めたような顔をしてらしたのと、手元に紙を持ってらっしゃったので、何かを、または誰かを捜しているのかと。もし違うならば、余計なことを言ってしまい申し訳ございません。」
「この辺に詳しいのですか?」
「えぇ。ある方の薦めでここにお店を出させてもらい、ここの土地すべて教えてもらいました。」
言おうか悩んでしまう。
只でさえ知らない土地だ。
言ったところで何をされるか。
でも早く会いたい。

