波の音が心地よく耳に届く。

夕方の海辺、人も少なく、周辺のお店も閉め始めている中、私はただただぼーっとしながら歩く。

歩き続けていると、ちいさなカフェを見つけた。

「ひと息ついたって、バチ当たらないわよね。」

カランカラン…

中に入ると優しそうなおじいさんが、カウンターのところにいた。

「いらっしゃい。何にしますかね?」

「ココア…お願いしても?」

「かしこまりました。」

そう言って飲み物の準備を始めた。

私は窓側に座ったので、窓の外の海に目をやる。
日が傾き、青黒くなってきている海。

飲み込まれてしまいそうー…。

海に飲み込まれたらどれだけ楽か。
それほど、私は北園に縛られている。

でも、ここで消える訳にはいけない。

私にはやることがあるのだ。

その為に、妹のところにいかなくてはならない。


二年前私が北園から逃したー…。


私北園結月、唯一の妹にー…。