あれから一時間、私は荷物を取りに行くのを渋った。
けれど、詩月をはじめ他の皆がひとりは危ないと言ってきた。
「今からチビは、俺らの守る対象になった。もう降参して守られてろよ。」
「だから、私は守らなくても大丈夫です。」
「お姉ちゃん…諦めてね。お姉ちゃんを守るためなの!」
「そうだね。大樹も言ったら聞かないし、諦めも肝心だよ?」
私が駄々を捏ねながら、皆で私の荷物があるホテルへと来た。
まさかこうなるとは思ってもみなかったから、焦っている。
「キャンセルの手続きをしてくるから、お前は荷物をまとめてこい。」
…なんともぶっきらぼうな。
上から目線だし、俺様気質だし。
イライラしながら、私の予約した部屋へ。
イライラしながら荷物をまとめる。
元々長居はしない予定だったから、荷物は5分で纏まった。
あれ?
そういえば、キャンセル料…。
エレベーターから降りて、入り口にいた大樹さんに詰め寄る。
「キャンセル料!」
「払った。行くぞ。」
そう言いながら、私の手荷物をさらっと持った。

