大樹さんには逆らえない気がする。
こんな初対面でチビという人に…。

「チビ、ホテルをキャンセルして荷物を纏めろ。ここなら身の危険を感じることもないはずだ。」

「はい?何でそうなるの?私は大丈夫よ!身の危険って大袈裟な…。」

私の言葉に彼が反応し、私を担いだ。

お姫様抱っこではなく、担いだ!

「ちょ…何するの!?」

降ろして!とジタバタするが、やはり男の人に力では勝てない。

何故に担ぐんだ!
私は米俵か!?

「これをどう大丈夫と説明できる。」

担いでた態勢から上半身を起こすと、下から見上げる大樹さんと目が合う。

恥ずかしさからかなんなのか…、心臓のおとがうるさい。

そんな私をみて、大樹さんは言葉を続ける。

「黒龍は女、子どもにも簡単に手を出す奴らだ。黒龍の奴らと手合わせたか何だか知らねぇが、男の力を舐めるな。こんな簡単に捕まるんだ。こういうことが日常茶飯事な世界なんだよ。お嬢様なチビには無縁の世界だろうがよ。」

そう言って私を大樹さんが座っていたソファーに荒々しく降ろす。

「い…たぁ。」

何すんのよ!と言い返そうとしたが出来なかった。

私を降ろした大樹さんは、綺麗な笑みを見せながら私を見ていた。