目が覚めると朝だった。

俺は上半身を起こし、隼美を見つめた。

『宗哉...く...』

『俺の夢見てるのか?』

少し恥ずかしくなって慌て目を反らす。

部屋は白い壁で、照明もお洒落なガラスの飾りがついていた。

一人住まいにしては広い。

『...起きて...たの?』

俺がきょろきょろしてると隼美が目を覚ました。

『うん。おはよ...』

『おはよう』

隼美は恥ずかしそうに笑う。

ドキドキした。

笑っただけなのに...

不意に部屋の電話が鳴った。

『?誰?』

隼美はベッドから下りて電話を取った。

『はい。誠さん?...あ。ええ。....』

誠(まこと)?

男だと分かると少しチクリとした。

『はい。あ、また...』

隼美が受話器を置く。

『誰?』

俺が訊くと隼美は申し訳なさ気に笑う。

『親が決めた相手...』


しばらく沈黙が流れる。

『....俺、隼美がほしい。』

自分でも何を言ってるか分からなかった。

『え?』

『隼美の両親が決めた相手でも、俺..奪うよ..そいつから...』

『宗哉く』

『宗哉で良い...』

俺はベッドから下りて隼美の前に立った。