頬に人肌の温もりを感じた。
目を覚ますと頬には手が添えられていた。
疲れきった顔が寝息を立てている。
閉じられた瞼の瞳を自分に向けたかった。
そっと添えられていた手を握ってみる。
細い指。自分より一回り小さな手。
『ん、...宗哉君。目.覚めたのね。』
俺を見つめる瞳。
『....ありがとう』
くすぐったく嬉しかった。
何故か涙が流れる。
理沙。
『...また泣いてる。』
彼女は言うと俺をそっと包んだ。
『宗哉君の想う人にはきっと敵わないけど...』
抱く手に力がこもる。
俺は目をつむる。
出来ればこの人の側に...
『貴方の側に居たい.....』
【私と一緒に愛して....】
理沙の言葉が胸を突いた。
『愛していいの?』
『え?』
【幸せになる為に誰かを....】
『あんたは俺のじゃない。』
でも...
理沙。ありがとう。
『あんたの側に居たい。』
これで良い。
俺は彼女を抱き締め返した。
近い顔。
狭い距離。
閉じた瞼。
でも今は俺だけを見ていると分かる。
その唇に優しく触れた。
温かく柔らかい。
隼美と最初のキスをした。

