「こっちにいったぞ!」
「卵を持っていた!!」

 ハヤトとチカは茂みの中に隠れてやり過ごす。こんな風に大人に追いかけられたことがないので、とても怖い。

 通り過ぎて行ったのを確認し、去った方とは逆方向から山を下りようと辺りを見回す。知らない景色、知らない土地。不安で仕方ない。

「追われてるのか?」

 声が聴こえて辺りを見回すが、見当たらなくて首を傾げる。

「おにいちゃん、こっち」

 妹の声にそちらを見れば、地面に穴が出現していた。そこには、チカよりも小さな人の形をした生き物がいた。

 それに案内されて、卵を抱えながら穴に身を滑り込ませる妹を慌てて追いかける。