「青の洞窟? の場所は?」
「確かに、主らには道案内が必要だな」

 そういってドラゴンが目を閉じると、何か魔法を使っているのか眉間の辺りに光が集中する。

「ドラゴンの智慧(ちえ)が詰まっておる。それが手助けしてくれるだろう」
「え」

 その言葉と共に光は結晶となり、紐をつけてハヤトの首にかかった。

「いいなぁ、おにいちゃん。それすっごくきれい」
「お前それ重くないの?」
「ぜんぜん! でもつかれちゃったら代わってね? たまごわっちゃうとたいへんだし」

 きらきらとした目で見てくる妹の頭を撫でてやる。

「質問を思い浮かべてみればいい」
「えーっと、青の洞窟の場所は……って、うわぁ!?」

 胸元にある結晶は青白い光を一定の方角へ伸ばす。

「あっちに、洞窟があるの?」
「ああ。何かわからないことがあれば石に訊くといい。大概のことは答えられようぞ」

 ドラゴンの言葉にハヤトは頷くと妹に声を掛ける。

「ドラゴンさん、おともだちにちゃんと、つたえるから」

 その言葉に、生きて欲しいという希望を込めてチカはいう。ドラゴンは何もいわずに頷いた。
 そのとき。

「まだ生きてるぞ!!」

 遠くからヒトの声がする。

「ドラゴンさん!」
「はやく行け!!」

 妹の手を引いてハヤトは駆け出す。転びそうになる妹を支えて。

「卵を、頼む―――!!!」

 大人たちが声を上げてドラゴンに斬りかかる。それを跳ね除けるようにドラゴンが身体をくねらせる。動けば動く程に、傷口は開くというのに。

 ハヤトは歯を食いしばって、岩山を駆け降りた。