「チカ、行くよ。やっとその卵を渡せる」
「うん!」

 石の灯りを頼りに外の光が届かない場所まで穴を進むと、ぼんやりと青い光が見えてきた。風の吹き抜ける音がしたと思えば、大きなだだっ広い空間に出た。

「あ―――」

 青い―――澄んだ青が、ぼんやりと優しい光を放っている。クリスタルの大きな結晶が壁一面に生えていた。目の前に広がっている光景に、ハヤトは息を飲む。

「わぁ~~~! おにいちゃん! すっごくきれい!!」

 チカは嬉しそうに声を上げて、その広い空間の真ん中に駆けていった。ハヤトも我に返ると、チカを追いかける。辺りをぐるりと見回して、改めて感嘆の溜息を吐いた。