突然ズボンを引っ張られてよろけると、その先に小人がいた。促された先に以前のような穴があり、チカはその入り口から顔を覗かせている。

「びっくりした」
「ここなら大丈夫。結界が張ってあってヒトは入れません」
「ボクらは入ってもいいの?」
「友人なので構いませんよ」

 外の様子を気にしているハヤトに、小人は笑う。

「チカ、どうして」
「こびとさんにたすけて、っておねがいしたの」

 手首に括ってあった紐を見せながら、チカは笑う。

「青の洞窟までいくんですよね。もう少し陽が高くなってから行動した方がいいと思います」

 確かに足元もよく視えない状態で行動するのは危険だろう。突然起されて混乱しているし、ゆっくりできるのはありがたい。

 前に来た小人の集落とは少し雰囲気が違うが、ゆっくりとしたリズムが心地よい。流石に小人のベッドには入れないので、毛布をもらって寄り添って眠った。ここに来たときには、固い地面ではなかなか眠れなかったが、もう慣れたものだ。