裏門が見えて、そこから出ようとしたその時―――

「おい、あっちだ!」

 その声に弾かれた様にハヤトは走り出す。

「チカ、起きて! 自分で走って!!」
「ん…んん??? おにいちゃん? なんではしってるの?」
「また追われてるんだ! 自分で走れるな?」
「がんばる……!」

 チカの手を離して、ハヤトは妹がやっと追いつける速度で走る。森の中の道なき道だ。まだ陽の光もないこの時間ははぐれてしまえば見つけられないかもしれない。

「おにいちゃん、こっち!」
「チカ?」

 後ろから声がしたかと思えば、チカの姿が見えない。きょろきょろと辺りを見回すが、焦りが強くてよくわからない。一体どこに―――