街中は既にクリスマスイルミネーションで華やかだった。
 しかし、真奈美にはクリスマスはこない。街中に出ることが辛かった。会社帰りもなるべくイルミネーションを見ないようにした。最近のお流行りの青い光がとても寂しげに見えた。真柴さんのことも岸さんのことも考えないようにして、私は大丈夫!と思うようにしたけど、そう思えば思うほど世の中が真っ白に見えた。
 でも唯一の救いはPortaだった。私にはPortaがある。マスターがいる。金曜日にはあそこに行ける。そう思うだけで救われた。


 そんな12月の初め、金曜日に代休を取った真奈美は少し早めにPortaに行った。
 するとマスターの様子が変だった。

「マスターどうしたんですか? なんか元気ないですよ。」
「そんなことないよ。いつもと変わりないよ。」
直後、ガシャーン・・・グラスが割れた。

「マスター大丈夫ですか?」
「うん、大丈夫・・・」
「あの、やっぱり大丈夫じゃないですよね。体調悪いんですか?」
「うーん。」
「マスター?」
「今日、店休む。」
「えっ? 」
真奈美は驚いた。
「看板仕舞ってくる。」
マスターはクローズの札を出して、看板のネオンを店の中に仕舞った。