足りない、もっと。



「みっ……」

「かわい」

「っ!?」

「やっぱり紗和はそれでせーかい」



わたしのすぐ前に来て、やわらかく笑ってくれる。

心臓が大きく音を立てた。


わたしが褒めるより先に、澪が言葉をくれた。

そのことがすごくうれしい。


バクバクする鼓動を感じながら、澪を見つめる。



「ありがとう。澪もすごくかっこいい。髪型も……」

「あーうん。なんかしてくれた」



普段はノーセットだけど、いまは着物に合わせてかセットしている。

前髪をわけて見えるおでこがかわいい。


いつもと雰囲気がちがって、ドキドキしすぎちゃう。



「早く行こー」


福井くんの声で、外に出てお店を回る。

……けど、視線が……。



「春瀬くんかっこいい」

「福井くんもやばくない?」

「一緒に写真撮ってもらおうよ!」



さすが人気のふたり。

すごく目立っている……。