足りない、もっと。



お互い着物が決まったから、部屋を移動する。

心臓がドキドキとうるさい。


澪とは幼なじみでずっと一緒にいる。

それなのに、ぜんぜん慣れない。

むしろどんどん好きになる。



「紗和~」

「あ、有紀ちゃん」

「すごくラブラブだったね?」

「えぇ!?そっ、それより話してる途中だったのにごめんね」

「いいのいいの。おかげで私も福井くんと話せたよ」

「ほんとに!?」

「うん。ちょっとだけどね……」



頬を赤く染める有紀ちゃんはすごくかわいい。

この機会にどうにか距離を縮めたいよね……!



「私、がんばるよ。紗和たち見てたら、がんばらなきゃって思った」


こぶしをぎゅっとつくる有紀ちゃん。

恋している有紀ちゃんは本当にかわいい。


わたしもがんばらなきゃ……!



「一緒にがんばろうね!」


有紀ちゃんと同じようにこぶしをつくる。

もっと澪に意識してもらいたい。

幼なじみじゃないと一緒にいられないかもしれない。


それでも、もう幼なじみじゃ足りないから……。