足りない、もっと。



「これにする」

「ん」


わたしの言葉に、笑顔で頭をなでてくれた。

やっぱり好きだよ。

澪が好きだよ……。


あふれそうになる気持ちを、ぐっとおさえる。

もういつでも、あふれちゃいそうなんだよ……。



「じゃ……」

「澪も着るの」

「おれはいいよ」

「澪はね、こういうのが似合うと思うよ!」



今度はわたしが選んであげる番。

せっかくだもん。

澪の着物姿もぜったい見たいもん。



「……うん、ぜったいこれ!」

「わかった。これにする」

「え、いいの?」

「紗和が選んでくれたから」

「着るのは?」

「紗和が着てほしいなら」

「っ……うん!一緒に写真撮ろ!!」



嫌がられるかなと思ったけど、すんなり受け入れてくれる。

本当に、澪はやさしすぎるよ。

わたしに甘すぎる……って思っちゃうのは、さすがに自惚れすぎかな……?