足りない、もっと。



恥ずかしさで顔が熱くなる。

うぅ……澪のばか……。


心のなかで澪のせいにしてみる。



「……邪魔がきた」

「え?」

「紗和、行こ」

「えっ……」


澪が自然にわたしの手を握る。

なんで!?


澪ってこんなに人前でくっついてくる感じだったっけ?



「お~い!俺らも一緒だけど?」

「別行動」


福井くんの呼びかけに、即答する澪。

べ、別行動!?


そういうのって、最初は一緒に行動しててしれっと……みたいな感じじゃないの!?

こんな最初から……。



「さ、紗和~っ……」


緊張で涙目の有紀ちゃんが首を横に振った。

有紀ちゃんの目が「ふたりにしないで」って言ってる。


そうだよね!?
まだ早いよね!?

わたしもすぐに澪とふたりは緊張しちゃう。

修学旅行っていつもと雰囲気がちがうから……。



「澪っ」

「ん?」

「あのね、4人で着物着て写真撮りたい!」

「…………」


澪の手をひっぱって止める。

わたしの言葉に、澪はだまってしまう。



「……だめ、かな?」

「……いいよ」

「やったー!!」