足りない、もっと。



それを誤魔化すように早口で言ってから澪の家を出る。

そのまま家の前で澪の準備が終わるのを待つ。



わたし、星野(ほしの)紗和と春瀬(はるせ)澪は幼なじみ。


家は歩いて1分かからないくらいの距離にあって、保育園のときからずっと一緒にいる。

休みの日もお互いの家に行ったり、公園で遊んだりと仲が良かった。


それはいまも変わらず、高校生になっても澪とはよく一緒にいる。


朝が弱い澪は高校生になってから特に寝坊で遅刻が多くなり、1年生の単位は相当やばかったみたい。

そんな澪を心配した澪のお母さんはなぜかわたしを頼ってくれた。


理由はわからないけど頼まれたら断れない。


だから2年生になってからはわたしが澪を起こしに行き、なんとかいまのところ遅刻はナシ。


わたしが起こしに行ってもいつもあんな感じだし、あまり変わらないとは思うけど少しでも役に立てているならよかった。