足りない、もっと。



「おまたせ」

「みみみ、澪っ!離れてよ~……」

「なんで?」

「なんでって……」

「おれら、いつもこうじゃん」

「えっ……!?」



こうって、いまみたいな……?

ハグ、とか……ないよ!



「澪!」

「…………」

「澪……?」


大きな声で名前を呼ぶけど、反応がなくてすぐ不安になる。

わたしの声がこわかったのかな……?


ドスがきいてたのかもしれない……。

澪の前ではかわいくいたいのに、恥ずかしさのあまり素直になれない……。



「え、あ、ごめん。俺行くわ」

「あ、なにか用があったんじゃ……」

「ううん、大丈夫」

「なんかごめんね?」

「ほんと大丈夫!じゃ!」


三宅くんは走って藤村くんのところへ行ってしまった。

なんだか気まずそうにしてたけど、大丈夫かな?


……あ、うしろから幼なじみにハグされてる人を見たら気まずいよね。



「澪、離して」


そういえば、周りからもチラチラ見られている気がするし。


「んー、もうちょっと」

「三宅くん、なにか言いたそうだったけど……」

「いいじゃん。どうせ紗和を誘いたかったんでしょ」

「え?」

「でも、紗和はおれといるから」