「それでは、時間に遅れないように。解散!」


先生の言葉で、自由行動がスタート。

いよいよだ……!

澪と一緒に行動できる唯一の時間!



「有紀ちゃん、早く行こ……」

「あの、星野さんっ!」

「はい?」


緊張している有紀ちゃんを引っ張ろうとしたら、三宅くんに声をかけられた。

どうかしたのかな?


首をかしげて、三宅くんを見つめる。



「えっと……その……」

「どうしたの?」


目を泳がせる三宅くん。

少し気まずそうにしている。



「あの……俺……」

「うん?」


言葉も詰まってる。

なんだろう……?



「三宅くん?」

「あの、俺と……」

「紗和」

「ひゃあ……っ」



いきなり後ろから手が回ってくる。

そのまま耳元で名前を呼ばれて、びっくりして声を上げてしまった。


もうだれかなんて、顔を見なくてもわかる。

背中に感じるぬくもりと、甘い声。

やわらかい髪がわたしの頬に当たるほど、密着している。


心臓が飛び出しちゃいそう……。