足りない、もっと。



「お前はそれでいいわけ?」


瑛介の質問には答えない。

だって答えはひとつだから。


反応がないおれを特に気にするわけでもない瑛介は、女子に声をかけられて話している。



「は、春瀬くん」



瑛介がいなくなったおれの隣に知らない女子が来たけど、なにを話していたかは興味なくて聞いてない。


それよりもずっと紗和が頭から離れない。


紗和がほかの男と、ふつうに話していた。


……モヤモヤする。

やっぱりおれは、もう我慢ができない。


班別行動のあとはテーマパークだったけど、うるさいだけで紗和にも会えなかったからどうでもいい。


明日になれば、紗和からモーニングコールが来るし、約束もある。


早く明日になればいい。


そんなことを思いながら眠りについたら、懐かしい夢を見た。