紗和はいつも、申し訳なさそうにしながらおれを起こす。


そんな紗和がかわいいから、眠い朝も少しだけ嫌いじゃない。


電話越しでも、紗和が顔を真っ赤にしてるのが想像できる。

めんどくさい電話も、紗和とだけはめんどくさくない。



「電話ありがと。明日もよろしく」

『うん!!』



元気のいい返事に、口角が少し上がった。

ほんと、紗和はかわいい。


なんか今日もいろいろ回るらしいけど、紗和に会えたらなんでもいいや。

あーでも、眠いな。



「モーニングコールしてもらったのに寝るなよ」

「…………」

「無視すんな」

「…………」

「耳を塞ぐな!」



うつ伏せで耳を塞ぐおれの手をつかんでくるうるさい瑛介。

せっかく紗和の声で耳を潤したのに。



「はぁ……」

「ため息つくな!」



瑛介がうるさいから仕方なく準備をした。