「……カードキー持ってっていいから」
「電気消えるだろ?」
「もう寝る」
「健康的だな。じゃあ、持ってくわ」
ドアが閉まり、部屋が真っ暗になる。
修学旅行中は紗和は起こしに来てくれない。
やっぱり修学旅行なんて、いいものじゃない。
明日サプライズで起こしに来てくれないかな。
真面目な紗和はそんなことしないか。
そんなことを考えながら、1日目は眠りについた。
つぎの日の朝。
紗和からの着信で目が覚める。
数少ない連絡先を交換している人たちは、ミュートにしてある。
だから、おれのスマホは紗和からの連絡でしか反応しない。
『澪、起きた?おはよう!』
スマホから紗和の声が聞こえる。
今日の紗和の『おはよう』はおれがいちばん。
そのためのモーニングコール。
でも、声を聞くと顔が見たくなる。