足りない、もっと。



いつもの眠そうな瞳に戻り、三宅くんに声をかける澪。


ふつうに話しかけるのはちょっと意外だなぁ。

いままでなら、理由があっても自分から声をかけることはなかった。



わたしが知らないうちに、澪は変わってるのかな……?


そう思うと、少しだけ寂しく感じた。



「澪、そろそろ行くぞ」

「えーめんどくさい」

「そんなお前を連れていかなきゃいけないほうがめんどくさいわ」



福井くんが澪の隣に来て、首根っこをつかんだ。

ハッとして有紀ちゃんを見れば、顔を赤く染めて固まっていた。


いまチャンスだと思ったのに……!



「じゃあ俺らは行くね」

「あ、うん。澪をよろしくお願いします」



……って、わたしどの立場で言ってるの!?


不意に出た自分の言葉に恥ずかしくなる。




「こちらこそ。明日の自由行動も聞いたよ」

「大丈夫かな?後ろにいる有紀ちゃんも一緒に」

「もちろん。楽しみにしてる」