足りない、もっと。



「これなに?」

「シャインマスカット飴だよ。三宅くんにあげようと……あ」

「……んまっ」

「み、澪……?」



わたしの手首をつかんで、最後のひとつを自分の口へと運んだ澪にびっくりする。

おいしそうにもぐもぐしている澪に目をパチパチ。



「あれ?だめだった?」

「だめっていうか……三宅くんにあげるって言っちゃってたから」

「んー、でもおれが食べてなくなっちゃったね。だから三宅クン?にはおれが奢るよ」



わたしの隣にいた三宅くんを見る澪。

奢るくらいなら、最初から自分で買えばよかったんじゃないのかな?


あ、でもとりあえず味見したかったってこと?


よくわたしがおやつを食べてたら「ちょーだい」って口開けたりしてたし。

そんな感じだったのかもしれない。



「ごめんね、三宅クン。これ財布」

「いや、いいよ。自分で買うし」

「そっか」