足りない、もっと。



そりゃそうか。

お寝坊さんの澪でさえ、最後は声が起きていた。


だから有紀ちゃんが起きないわけがない。



「朝からイチャイチャ電話ですね」

「そ、そんなんじゃなくて……」

「はいはい。幼なじみだから、でしょ?でもただの幼なじみとは、修学旅行の朝まで電話しないわよ」

「澪はするの」



澪は本当に寝起き悪いから。

わたしのことは目覚まし感覚だけど、それでも役得だからいい。


澪の“明日もよろしく”に深い意味なんてないんだもん。

だけど、澪と話せるなら浅くてもなんでもいいよ。



「でも、普通にうらやましい~!から、私もがんばる!さっ、気合い入れて支度しよう」



軽くストレッチしてから支度を始める有紀ちゃん。

わたしもいつもより丁寧に身支度を整えた。