わかりやすく、しゅん…となる澪に胸が締め付けられる。

澪の反応がかわいいけど心苦しい。


だけど、できないものはできないし……。



「行きたくないよ」

「んー……」

「一緒にいてよ」



ついには立ち止まって、わたしの手を握る。

子犬みたいなまんまるな瞳に、このまま一緒にいたいっていう気持ちがあふれてしまう。



「紗和」

「でっ、電話!朝、澪に電話するから!」

「電話?」

「うん。モーニングコール!それでどう?」

「……起こしには来ない?」

「でも、起きてすぐかける。いちばんに澪におはようって言うよ」



しゅん、となっていた表情が少しだけ明るくなる。

わたしの顔を覗き込んで首を傾げた。


かっこよすぎる顔が近くてドキドキする。



「いちばんに?」

「うん、いちばんに!」

「じゃあ行く」

「やった!」



澪の返事に思わず本音がもれる。

行く気になってくれてうれしい。

めんどくさくなったら、澪は本当に行かないから。


冗談じゃなくて、本気のことしか言わない。


だから無事、澪と修学旅行の思い出がつくれそうでよかった。