足りない、もっと。


そんな大きい声を出してたつもりはなかった。

澪が来てくれて、テンション上がったから大きい声が出ちゃったけど。


三宅くんと話しているときは普通だと思ったのになぁ……。



「紗和の声は聞こえるんだよ」

「え?」

「さっきの男、だれ?」

「クラスメイトだよ。修学旅行で同じ班になったの」

「ふぅん」

「澪は、だれと一緒なの……?」



かわいい子かな?

でも、澪は彼女はいらないって言ってた。


だから、かわいい子でも興味ない?

あれから気持ちは変わったりしてないかな?


心臓が不安でバクバクする。

わたしより背の高い澪をじっと見つめる。



「興味なかった。だれだろ」

「今日決めたはずなのに?」

「ま、だれでもいいや」

「澪らしいね」


相変わらずの澪に薄く微笑む。

すると、肩がとんとぶつかった。