足りない、もっと。


取り出して画面を確認すると、息が止まるかと思った。

びっくりして、思考も動きも止まってしまう。



「星野さん?」

「電話出るね。三宅くんも部活がんばって」

「ありがとう」

「また明日ね」

「うん。また明日」



三宅くんに笑顔で手を振って、背中を向ける。

それと同時にすぐに電話に出た。



「はい」

『…………』


電話に出るも、無言。


「澪、どうしたの?」



ドキドキしながら名前を呼ぶ。

澪が電話をかけてくることは滅多にない。


スマホの操作もめんどくさがるし、まず持ち歩くことも忘れがち。

だからそんな澪からの電話なんて、いったいなんの用なんだろう……。



『……眠い』

「へ……?」



けだるげな声が耳に届く。

そのせいで間抜けな声が出てしまった。


ね、眠い……?


それをわざわざ電話をかけてまで、わたしに伝えるなんて澪らしくない。


なにかあったのかな?