足りない、もっと。



大きく頷くと、三宅くんは照れたように笑った。

写真撮ってもらうのが好きなのかな?



「うれしいな。星野さんとずっと話したかったから、修学旅行も同じ班になれて、こうして部活の写真も撮ってもらえて。じつは星野さんのこと、前から気になってたから……」

「え?」

「あ、やば。ごめん!ちょっとテンション上がってしゃべりすぎた。忘れて?」

「うん?」



たくさんしゃべりだす三宅くん。

かと思えば、急に焦りだすから不思議に思って首を傾げる。


早口であまり聞き取れなかったけど、修学旅行って単語はハッキリ聞こえた。



「修学旅行、楽しみだね」

「うん。すげー楽しみ」



本当に楽しみみたいで、ずっと頬がゆるんでいる。

だからわたしも頬がゆるんだ。



「これをきっかけに星野さんともっと仲良くなりたいって思ってたりするんだけど……」

「うん、わたしも。みんなでいっぱい騒いで楽しもうね」

「みんなもだけど、星野さん個人と……」

「あ、ごめん。電話だ」



ポケットに入れているスマホがふるえて着信を知らせた。